スペシャリティ医薬品流通受託事業
希少疾患治療薬など、より厳格な品質管理と流通管理が必要な医薬品の流通を医薬品メーカーから受託する事業を展開しています。「医療流通プラットフォーム」を基盤に、厳格な温度・在庫・セキュリティ管理が求められる「スペシャリティ医薬品」の流通において、スズケングループには業界トップの受託実績があります。
メーカー物流事業参入以降、サービスの高度化を進め、さらなる事業拡大に取り組むことで、医薬品流通の品質向上と社会コストの低減に貢献しています。
機会とリスク
機会
- スペシャリティ医薬品およびバイオ医薬品市場の拡大
リスク
- 医薬品流通におけるGDP準拠の義務化
スズケングループの強み
スペシャリティ医薬品流通におけるノウハウ・実績
- 物流の共同化による配送の効率化と流通在庫の最適化
- GDPに準拠した品質管理と全国の輸配送ネットワーク
- 再生医療等製品の流通プラットフォーム
- GDPスペシャリストの育成・配置
- スペシャリティ医薬品流通受託:39社70品目(品目シェア50%以上)※2025年3月31日現在
主な取り組み
製薬企業のアウトソーシングニーズに応え、メーカー物流の受託を開始
当社グループは、2005年に医薬品卸として初めてメーカー物流の受託を開始しています。製薬企業のアウトソーシングニーズに応えるとともに、メーカー物流と卸物流を一貫して担うことで、製薬企業ごとに行われていた物流を集約することで、配送の効率化や流通在庫の適正化を図り、社会 コストの低減にも貢献しています。
また、当社グループは現在11のメーカー物流センターと6つの輸配送ターミナルを有しています。このうち8つの物流センターでは、2008年から、GMP※1に準拠した「ISO9001」の認証を取得。その後「2015年版」を取得したことで、グローバル基準となるPIC/S※2GDP※3に準拠し、新たな運用基準となる「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」にも対応するなど、品質管理の向上に努めてきました。卸物流においても、メーカー物流で培ったノウハウを移植し、高い流通品質を確保できる全国物流ネットワークを構築しています。
業界に先駆けてメーカー物流受託を開始したことで蓄積してきた、豊富な経験とノウハウを持つ人材こそがスペシャリティ医薬品流通における当社グループの最大の強みであるといえます。
また、ロジスティクス機能を担うエス・ディ・ロジにて、社内資格である「GDPスペシャリスト」を育成、各都道府県に配置し、GDP 基準に準拠した庫内業務や配送業務の運用・管理、教育、監査を行うなど、人とシステムの融合による GDP 対応を強化していきます。
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※1GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品の製造における製造管理と品質管理基準
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※2PIC/S(医薬品査察協定および医薬品査察共同スキーム):各国政府や査察機関の間のGMPとGDPにおける二つの協力機関Pharmaceutical Inspection Convention(PIC)および Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme(PICS)の統合呼称
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※3GDP(Good Distribution Practice):医薬品の輸送・保管過程における品質管理基準

希少疾病と再生医療の分野にサービスを展開
2012年には、医薬品卸として初めて希少疾病領域の総合支援事業を開始しています。さらに2016年には、再生医療等製品の治験製品物流を開始。再生医療等製品は日本で採取された組織や細胞を海外に輸送し、加工・培養したのち日本に輸送するケースがあることから、2018年に米国医薬品卸「センコラ(旧アメリソースバーゲン)」のグループ会社であるワールド・クウリアーと協業し、再生医療等製品のグローバル流通プラットフォームを構築しました。
ノバルティス ファーマ株式会社の日本初となるCAR-T細胞療法「キムリア」、脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療用製品「ゾルゲンスマ点滴静注」をはじめ、日本国内での新規参入や新製品の上市を目指す製薬企業の流通受託を拡大しています。
また、再生医療等製品における流通管理、投与スケジュールサポートシステム「R-SAT」をサンバイオ株式会社と共同開発し、2022年4月には特許を取得しました。さらに、医薬品卸として初となる保管やラベリング、出荷判定などを行うための製造業務認可の取得など、製薬企業の高度化・多様化するニーズに応えるサービスを拡充しています。

日本に新規参入する海外製薬企業のニーズに対応
近年、日本市場への新規参入を目指す海外の医薬品企業は増加しつつあるものの、工場や物流センター、流通ネットワークを持たないケースが多い状況にあります。
当社グループは2021年4月に武州製薬株式会社と協業を開始し、2024年4月に稼働した「首都圏物流センター」には、卸物流エリアに加え、製造業務受託・メーカー物流エリアも併設しています。両社の機能を融合することで、スペシャリティ医薬品のMAH※4コンサルティングから 輸入、検査、製造、流通、市販後調査、患者サポートまでワンストップで受託することが可能となります。サプライチェーンを集約し、製品移動を最小化することで、業務効率化や流通在庫の適正化を図り、医薬品廃棄ロスの削減にもつながると考えています。
武州製薬との協業においては、グループ会社の中央運輸株式会社の「加須医薬品共同物流センター」内に設置する「武州製薬加須パッケージングセンター」で受託製造を開始するほか、日本市場への新規参入を目指す製薬企業に向けた共同提案営業を米国で開始するなど、総合支援を展開していきます。
当社グループは、これからも長年蓄積してきたノウハウを活用し、新薬を待ち望む患者さまに確実に医薬品をお届けできる流通基盤の強化に努め、スペシャリティ医薬品流通のニーズに応えるサービスを創出、提供することで、お得意さまや社会に役立つ企業であり続けます。
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※4MAH(Marketing Authorization Holder):医薬品製造販売業者の呼称
