スマートロジスティクス

デジタルを活用した医療流通プラットフォームの構築

メーカー物流から卸物流からデータ分析

社会課題流通在庫管理の高度化が求められる医薬品流通

近年、希少疾病薬を含め、高額医薬品やバイオ医薬品、再生医療等製品などのスペシャリティ医薬品市場が拡大しています。スペシャリティ医薬品は、高額であることに加え、厳格な温度管理や在庫管理、セキュリティ管理が求められます。加えて後発医薬品の市場も拡大する中で、従来にも増して製薬企業と医薬品卸、医療機関・保険薬局との密な情報共有と、これによる医薬品の流通在庫管理の徹底と需給調整、精緻な需要予測に基づく最適な生産・輸入計画の策定が求められています。こうした背景の下、医薬品の供給不足や在庫の偏在による高額医薬品の廃棄ロスが課題であり、課題解決に向けた仕組みの確立が急務となっています。

いついかなる時も、必要とされる方に必要な医薬品をお届けするためには、安心・安全かつ安定的な医薬品流通と社会コストの低減を実現する仕組みを構築することが必要不可欠です。

スズケングループの取り組み医療流通プラットフォームの強化

スズケングループではこれまで、医薬品が製薬企業の工場や物流センターから患者さまの手元に届くまでのサプライチェーンにおいて独自の「医療流通プラットフォーム」を構築し、安定供給や品質管理の強化、流通在庫の最適化を図ってきました。今後は、デジタル技術を導入することで医療流通プラットフォームを強化し、「スマートロジスティクス」の実現を目指していきます。この仕組みによって、市場に流通する在庫のリアルタイムでの把握や、輸送・保管状態の見える化が可能になり、市場の需給調整による医薬品の偏在防止やより正確なトレーサビリティの確保が可能になります。医薬品廃棄ロスの削減だけでなく、輸送に伴うCO2排出量の削減にもつなげ、医薬品物流における社会コストの低減に貢献していきます。

医薬品流通のリアルタイムの可視化と最適化

2022年4月から、ソフトバンク株式会社と協業し、医薬品流通のDX実現に向けて大手ドラッグストアも加わった実証実験を開始しています。当社グループが流通過程で収集した医薬品の出荷・在庫情報を集約し、ソフトバンクの通信インフラを活用してリアルタイムに可視化。各拠点の流通在庫情報は医療機関や保険薬局、製薬企業に共有します。在庫量と発注量の適正化を図ることで、不動在庫や医薬品廃棄ロスの削減、配送の効率化を目指します。

また、2023年4月にはお得意さまが発注した商品の納品日・欠品時の代替品をスマートフォン、パソコンで簡単に確認できる「納品予定アプリ・納品予定お知らせサービス」の提供を開始。今後は在庫の見える化の仕組みと既存の発注・物流業務を連携することで、新たな機能追加やコラボポータルとの連動による情報連携も視野に入れています。

キュービックスシステムによるトータル・トレーサビリティ

2017年から、スペシャリティ医薬品のトレーサビリティシステム「キュービックスシステム」を展開しています。ICタグを通じてデータを読み書きするRFIDとIoT技術搭載の専用保管庫を使用し、医薬品の輸送から院内保管、戻り品の返却、再納品に至るまで、24時間365日、リアルタイムで医薬品の管理状態を遠隔モニタリングすることができます。これにより、再販売の可否判断や在庫状況の把握が可能となり、医薬品廃棄ロスの削減や在庫偏在の防止に貢献しています。また、自動発注や不動品・未使用在庫の入れ替え提案などを自動化でき、医療機関の業務負荷軽減にもつながっています。

キュービックスシステムの展開

首都圏物流センターにおける自動化、省人化

2024年4月の稼働開始を目指して、埼玉県草加市に業界初の複合型物流センター「首都圏物流センター」の構築を進めています。先端のロボット技術や画像認識技術を活用し、伝票入力作業や棚卸作業、構内搬送などの自動化により省人化を図ります。一方で、パッケージングなどきめ細やかな作業は人の手で行い、精度の高い医薬品物流を目指します。

当センターは、メーカー物流エリアに加え、協業する武州製薬株式会社の製造業務受託エリアを併設していることから、製品移動の最小化や納期短縮、センター在庫の集約による在庫金額の削減が見込まれるほか、輸配送コストや環境負荷の低減などが期待できます。今後は、当センターを活用することで、同業他卸や異業種との保管スペースの共有や共同配送をはじめ、サプライチェーン短縮などの実現を目指していきます。

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