医療関連サービス等事業

国内外の医薬品メーカーの多様なニーズに対応するメーカー物流受託や希少疾病薬流通受託などのメーカー支援サービス、ヘルスケア領域における課題を解決するデジタルヘルスケアサービスを展開しています。

機会とリスク

機会

  • スペシャリティ医薬品およびバイオ医薬品市場の拡大
  • 外資系製薬企業の日本への参入
  • 地域包括ケアシステム構築の推進
  • 大都市圏における高齢者人口の増加
  • 医療・ヘルスケア分野におけるデジタル化の進展
  • 個別化医療の進展
  • 在宅医療・介護ニーズの多様化
  • デジタルヘルスサービスの増加
  • ヘルスケアデータの連携・利活用

リスク

  • 医薬品流通におけるGDP準拠の義務化
  • 物流・運送業界の「2024年問題」
  • 異業種の参入による競争の激化
  • 介護市場における深刻な人材不足

スズケングループの強み

メーカー物流とスペシャリティ医薬品流通におけるノウハウ・実績

  • 物流の共同化による配送の効率化と流通在庫の最適化
  • グローバル基準の品質管理
  • 再生医療等製品の流通プラットフォーム
  • メーカー物流事業受託:46社(2023年3月31日現在)
  • スペシャリティ医薬品流通受託:30社53品目(2023年3月31日現在)

メーカー支援サービス事業における拠点・車両台数

  • メーカー物流センター:11カ所
  • 保冷車:99台

主な取り組み

メーカー支援サービス事業

医薬品メーカーへ多様なサービスを提供

医薬品の製造受託をはじめ、メーカーの物流センターの運営や卸への物流の受託など、医薬品メーカーのコスト削減にも貢献しています。さらに、たとえ一人でも病気に苦しむ患者さまがいる以上、必要とされる医薬品をお届けすることが社会的使命と捉え、希少疾病用医薬品※1の流通も実現しています。

[医療品メーカーバリューチェーン:スズケングループの医療品メーカー支援事業][研究開発:治験支援事業]→[製造:医薬品製造受託事業]→[物流:メーカー物流※2事業、希少疾病用医薬品の支援事業]→[マーケティング:医療関連調査事業]→[販売:医薬品販売支援]
  • ※1
    医療上必要性は高いが、必要とする患者数が少ない医薬品
  • ※2
    メーカー物流には、医薬品の原料をメーカーの工場まで輸送する「調達物流」、生産された医薬品をメーカーの工場からメーカーの物流センターまで輸送する「生産物流」、メーカーの物流センターから卸の物流センターに輸送する「販売物流」があります。

ワンストップ受託モデルの機能拡大

近年、日本市場への参入を目指す海外の製薬企業は増加しつつあるものの、製造工場や物流センター、流通ネットワークを持たないケースが多くあります。こうしたニーズに対し、2021年4月に武州製薬株式会社と協業を開始し、両社の機能を融合することで、スペシャリティ医薬品の医薬品製造販売業者コンサルティングから輸入、検査、製造、流通、市販後調査、患者サポートまでワンストップで受託できるようになりました。また、グループ会社である中央運輸株式会社の物流センターに製造業務機能を保有しています。2021年12月には2016年に資本業務提携を行ったEPSホールディングス株式会社のグループ会社である株式会社EPファーマラインを合弁化しました。同社のメディカルコンタクトセンター機能やBPO機能と、当社グループの機能を融合し、製薬企業のニーズにワンストップで対応するプラットフォームを構築しています。

製造業務から患者支援までのワンストップ受託モデル例

グローバル基準となるPIC/S GDPに準拠した品質管理の実現

スズケングループは2005年からメーカー物流受託事業に参入し、GMP※3に準拠した厳格な温度・品質管理を実現してきました。メーカー物流センターでは、2008年からGMPに準拠した「ISO9001」の認証を取得し、新たに「2015年版」も取得したことで、グローバル基準となるPIC/S※4 GDP※5に準拠した品質管理を実現しています。また、2018年10月からは、中央運輸株式会社のメディカルターミナルを稼働させ、関東圏の医薬品共同配送機能の集約による効率化を図るとともに、医薬品保冷サービス「ダイレクトクール※6」を提供しており、現在そのエリアを拡大しています。

中央運輸のメディカルターミナル
施設開口部と車両の隙間からの外気侵入を防ぐドックシェルター
  • ※3
    GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品の製造における製造管理と品質管理基準
  • ※4
    PIC/S(医薬品査察協定および医薬品査察共同スキーム):各国政府や査察機関の間のGMPとGDPにおける二つの協力機関Pharmaceutical Inspection Convention(PIC)および Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme(PICS)の統合呼称
  • ※5
    GDP(Good Distribution Practice):医薬品の輸送・保管過程における品質管理基準
  • ※6
    ダイレクトクール:保冷品(2~8°C)の配送時の温度逸脱を防止するため、全国で運用するメディカルターミナルより各医薬品卸の物流センターへ直送するサービス

再生医療等製品流通の強化

再生医療等製品のグローバル流通プラットフォーム

2016年に再生医療等製品の治験製品物流を開始し、2018年には米国医薬品卸アメリソースバーゲンのグループ会社であるワールド・クウリアーと協業し、再生医療等製品のグローバルネットワークを構築しました。ノバルティス ファーマ株式会社の日本初となるCAR-T細胞療法「キムリア」、脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療用製品「ゾルゲンスマ点滴静注」をはじめ、日本国内での新規参入や新製品の上市を目指す製薬企業の流通受託を拡大しています。

また、再生医療等製品における流通管理、投与スケジュールサポートシステム「R-SAT」をサンバイオ株式会社と共同開発し、2022年4月には特許を取得しました。さらに、医薬品卸として初となる保管やラベリング、出荷判定などを行うための製造業務認可の取得など、製薬企業の高度化・多様化するニーズに応えるサービスを拡充しています。

デジタルサービス事業

ヘルステック企業との協業によるデジタルサービスの創出

当社グループは2019年からヘルステック企業との協業を積極的に進めてきました。医療現場における効率化ソリューションを提供するDr.JOY株式会社、PHR(Personal Health Record:生涯型電子カルテ)サービスのリーディングカンパニーである株式会社Welbyとの資本業務提携をはじめ、2020年4月には、Ubie株式会社と資本業務提携を行い、医療機関向け問診サービス「ユビーAI問診」の共同展開を実施。同年11月には、現場の医療者目線で「医療DXプラットフォーム」の構築および推進を行うドクターズ株式会社と資本業務提携を行いました。さらに、2021年4月には、2020年2月に資本業務提携したエンブレースを完全子会社化し、「メディカルケアステーション(MCS)」を活用したプラットフォーム事業を展開しています。2021年11月には、人工知能(AI)を活用したデータ解析事業を営む株式会社FRONTEOと業務提携を開始。同社が提供する「会話型認知症診断支援AIプログラム」の流通関連活動を独占的に行うとともに、早期市場浸透および市場拡大に向けた体制の確立を目指しています。

2022年2月には、2020年5月に資本業務提携を行ったサスメド株式会社と、キュービックスシステムの新たな付加価値サービスの構築を開始。同社のデータ改ざんや、なりすまし防止といったブロックチェーン技術、AI自動分析システムなどのデジタル医療基盤を活用し、情報提供活動や市中在庫管理の最適化を可能にします。

さまざまな企業と共に業界が抱える課題解決に向けてデジタル化の取り組みをスタートさせ、共に安心・安全なデジタルプラットフォームを構築していくことで患者さまや地域医療、それを支える医療従事者に貢献していきます。

デジタルビジネスの推進に向けた新会社の設立

デジタルヘルスケアサービスの増加に伴い、治療アプリやプログラム医療機器といったデジタル商材を流通させる新たな卸機能「デジタル卸」が必要と考えています。2022年3月、ヘルスケアプラットフォームの企画・提案を行う株式会社コラボクリエイト、その開発・運営・保守を担う株式会社コラボプレイスを設立。当社グループが強みとする「つなぐ力」と「広げる力」を最大限生かし、プラットフォーム上で国内外のさまざまなデジタルヘルスケアサービスをシームレスに接続し、ワンストップで医師や製薬企業、患者さまが利用できる総合ポータルサイトを開発しています。お得意さまや地域医療への貢献、製薬企業への最適なソリューションの提供を実現させます。

また、業界の基準となるようなセキュリティやコンプライアンスの整備など、安心・安全、かつ正しいDXの概念の浸透・定着を目指し「ヘルステック連携協議会(仮称)」の設立を検討しています。さらに2022年4月にはヘルステック企業への投資を本格化させるための「CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド」を組成。最先端の技術・ビジネスモデル・アイデアを持ったさまざまなヘルステック企業と連携し、新たなソリューションを創造していきます。

デジタルプラットフォームの構築

デジタルプラットフォームの構築に向け、2023年4月、医療・介護従事者向けの総合ポータルサイト「コラボポータル」の展開を開始しました。提携するヘルステック企業と患者さま、医療・介護従事者の皆さま、製薬企業、自治体、そして当社グループをつなぐ役割を果たします。全国でのサービスを開始しており、すでに数万IDが登録されています。

また、医療・介護従事者の皆さまが、必要な時にワンストップでデジタルヘルスサービスの利用が可能となる情報通信機器「コラボモバイル」のレンタルサービスも2023年6月に開始しました。コラボモバイルにはコラボポータルの機能が標準搭載されており、施設内のみならず、患者宅などの地域の在宅医療や介護の現場でも利用いただけます。

デジタルビジネスの展開に向けたサービスの普及・拡大

コラボポータルを活用したデジタルビジネスの収益化は2025年度の実現を目指しています。まずは、ポータルの普及と拡大に注力し、データ利活用のスキームを構築することでポータルの価値を向上させる計画です。早期に約15万IDの登録実現を目標としています。

コラボポータルを軸に、医療・介護従事者の皆さまを支援するサービスを幅広く展開し、サービスに紐付く情報や、患者さまの疾患・服薬データが集積されることで、多様化するニーズに対応するサービスの創出と、医療・介護従事者の皆さまにとって魅力的なプラットフォームの実現を目指していきます。

コラボポータルを基盤としたデジタルプラットフォーム

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